海上自衛隊全面協力!
作中に登場する艦「晴風」の“あの音”を収録するため、「はいふり」スタッフは長崎県佐世保基地に向かった!!


  • ■飛行機が飛ばない!
     10年に一度の大寒波が日本海沿岸を襲った1月のある日、「はいふり」スタッフは羽田空港で途方に暮れていた。「はいふり」の舞台であり、明乃たちが生活をともにする「晴風」艦内を描くのに、欠くことのできない音――“機関音(船のエンジン音)”を本物の護衛艦からサンプリングするため佐世保基地に向かう……はずだったのだが、寒波により長崎行きの航空機が欠航してしまったのだ。
    とりあえず福岡空港まで前進し、鉄路での移動を試みるも、やはりダイヤは乱れまくり何とか佐世保駅に到着できたのは日付をまたいだ深夜1時となってしまった…。

  • 博多までやってきたが鉄道も1時間以上の遅れ。ホームで寒さに震える取材スタッフ一同。

  • ■たった一つの艦
     さて、なぜ取材スタッフは遠く佐世保まで取材にやってきたのか?東京から近い横須賀にも海上自衛隊の基地があるじゃないか、と思った方も多いはず。その答えは本作の“音”に対するコダワリがある――「晴風」が搭載する「蒸気タービン機関」を搭載する護衛艦が、ここ佐世保にしか存在しないのだ!より正確に言えば、100隻以上の海上自衛隊現有艦艇の中でただ一艦、護衛艦「くらま」しかいない!

    護衛艦「くらま」の雄姿と取材スタッフたち。。1981年に就役した「くらま」は対潜ヘリの母艦機能を強化した「しらね」型ヘリコプター搭載護衛艦の2番艦。旗艦機能を持ち、長く護衛艦部隊の中心的存在として活躍した。近い将来、退役する予定だ。

    「はいふり」スタッフ、「くらま」に乗艦!

  • ■蒸気タービン機関
     蒸気タービン機関とは、文字通り高温高圧の蒸気によってタービンを回し動力を得るもので、「はいふり」世界で活躍する第2次世界大戦期の戦闘艦艇では主流の機関だ。日本海軍艦政本部主導で開発された日本初の蒸気タービン機関、いわゆる「艦本式タービン」の名を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。

    蒸気タービン機関を制御する機関操縦室。最近の艦ではデジタル化が進み、計器類はモニター表示になっているが、80年代生まれの「くらま」にはアナログな計器類が並んでいる。

    機関操縦室の音を録る、効果担当の今野さん。

    蒸気タービン機関が置かれた区画が機械室だ。2軸の推進プロペラそれぞれに蒸気タービン機関が置かれ、艦内には機械室は2つある(機関操縦室は1つ)。

    機関員が“棒”を耳に当てている。これは「聴診棒」と呼ばれるもので、タービン内のギアの音を聞いている。音で機関の不調を察知するのだ。

    機械室の下にあるのがボイラー室(やはり2つある)。火力を調整し、蒸気を発生させる。一定の火力を維持しないとノッキングを起こし、艦が大きく動揺することもあるらしい…。

    小窓からボイラー内で赤々と燃える炎が見える。ここから火加減をチェックするそうだ。

    機械室の柱には神棚も。

  • 戦後も長く使用された蒸気タービン機関だったが、70~80年代になると、より短時間で始動させることができるガスタービン機関が主流となり、海上自衛隊でも搭載艦は「くらま」のみとなっている。

  • ■こんな音も録りました!
     今回の取材では機関音だけでなく、艦内の生活を描く上で頻繁に登場するさまざまな“音”も収録された。もちろん、こんな音も……。

    「サイドパイプ(号笛)」と呼ばれる笛は日本海軍時代から使われているもので、さまざまな呼出や合図、号令に使われる(発祥はイギリス海軍と言われている)。

    これがサイドパイプ。穴の開き具合を手で調整して音を変える。甲高い「ホヒ~~ホ~~」という音が特徴。

    自衛隊と言えばラッパ!海上自衛隊のラッパは日本海軍から引き継いだもので、陸上自衛隊とはメロディやテンポが異なる。口の開きやブレスの加減で音を変えるため、上手く吹けるようになるまで3年はかかるそうだ。

  • ※「す・み・ま・せ・ん」の手旗信号。第1話で集合時間遅れてしまった「晴風」から教官艦に向けて送られた手旗信号もここで取材されている。

    この他にも艦内のすみずみを回り「くらま」の音を収録した今回の取材。アニメのなかで何気なく聞こえてくる音は「くらま」で収録されたものかも?